天国と地獄 |
2006.02.25 Saturday 12:41 |
「天国と地獄」が交互に訪れる緊迫感いっぱいの展開で、2時間20分という長篇にも関わらずダレることがない映画。
主人公が住む高台に建つ豪邸と、犯人が住む安アパートの対比。
株の保有率を高め、新社長就任間近な主人公。すると法外な身代金を要求する脅迫電話が。
しかし拐われた子は自分の子ではなく、運転手の子だった。
身代金略取は諦めて子どもを返してくると思えば、それでも脅迫を続ける犯人。
犯人に迫る決定打となるのが、身代金受け渡しに使った鞄から立ち上る赤い煙。
「踊る大捜査線 THE MOVIE」でゴルフボールが燃えて赤い煙が出る場面で出る「天国と地獄だ」という台詞は、これのパロディなんですね。
電車での身代金受け渡しや薬物中毒者が暮らすスラムの様子など印象深いシーンが多い。すべてが名シーンと言ってもいい映画だが、中でも一番の名シーンはラストシーン。成功者である主人公を理由もなく逆恨みし、卑劣な犯罪に身を堕とした犯人。強がりの果てに主人公との対話を望むが、話をしている間に恐怖や後悔に心を喰われそうになり震えし取り乱したところでシャッターが下りてきて終劇。唐突なラストが余韻を残す結果となり、とても印象深い。
これは傑作。観て損なし。90点。黒澤明すげー!