三十路も近くなってくると日本海の味が分かるようになってくる。湘南や九十九里といった太平洋は若造がナンパするような海。海よりもその向こうにあるムフフ(あだち充的表現)が目的なのだ。しかし日本海は違う。なんか、こう、ストイックな感じがするではないか。
そんな素晴らしい日本海を一度も見たことがない。これは由々しき問題だ。男を上げるために日本海を目指すことにした。
車で新潟へ向かう途中、鉄塔と送電線が見えてきたので「山の中にある発電所から、ああやって鉄塔が連なって電気を送ってるんだよ。どこまでもどこまでも続いているんだよ」
と魅力を説くが全然理解されない。風流を解さない奴らだ。送電線萌えー。
新潟は思ったよりも近かった。3時間ほどで到着。港に立ち寄ろうと言う俺に皆は「なぜ?」という顔をしていたので説明してやった。「いいか、港と言えば漁師料理だよ。きっと漁から帰ってきた漁師さんたちが浜鍋とかサザエの壷焼きとかやってるんだよ。「こんにちはー」「おう、兄ちゃんたちどこから来たんだい?」「東京です。いい匂いに釣られてやってきました」「なんだ、腹減ってんのか。こんなんでよければ喰え喰え!」って流れになるのが自然だろ。タダで飯も食えて、地元の人とも触れ合えて一石二鳥だろ」と力説するが全然理解されない。ロマンを理解しない奴らだ。似非グルメ番組萌えー。
結局、海辺の店で食事をすることに。店で食べるんなら東京だって同じだよ…。とブツクサ言いながら食べる。
うまーい!やっぱり獲れたては違うねー!人間、考えを改めるべき時はある。うまいものはうまい。たとえそれが雰囲気に騙されているのだとしても「美味しい」と感じたその事実は自分だけの真実となっていくのだ。店を出ると、道端で貝や海老や鯖(!)の串焼きを売っていたので当然買う。ビール片手に串焼きを食べる。最高。海の幸萌えー!
そして、ついに海へ。曇っていたし、まだ寒いので誰も入っていない。野郎ども、海に突っ込め!「濡れるからイヤだ」「寒い」「そんな歳じゃない」…心意気というものが分からない奴らだ。失望した。見本を見せてやる!
だが、この時は気付かなかった。足洗い場がなくて苦労することになることを…。
次回こそ港で漁師さんとの触れ合いを!それこそが男の日本海なのだ!!ロマンを理解してくれる仲間、募集中です。