以前の記事をちょこっと改変。
「ジャイアンツ」の部分を「レッズ」に変えてみました。
十代で日本代表に招集され、将来を嘱望される梅崎司(大分トリニータ)、四年連続二桁得点をマークする点取屋エジミウソン(アルビレックス新潟)、日本FW陣の大黒柱である高原直泰(独フランクフルト)を獲得し、五輪代表チームの守備の要・水本裕貴(ジェフ千葉)と交渉中。そんな浦和レッズの戦力補強について、ちょっと擁護してみようかな、と思います。もちろんレッズによる選手濫獲には反対。それでも敢えて弁護をしてみる。思考実験みたいなもんだな。
レッズへの批判でよく見かけるものに「他クラブの育てた選手を金銭で強奪するな」というものがあります。しかし、考えてみてください。レッズは選手を拉致してきてサッカーをさせているわけではありません。彼らは自分の意志でレッズの一員になったのです。絶対にレッズに行きたくなければ断ることができるのです。
「札束を見せて強引に心変わりさせた」という声もよく聞きます。引き抜かれてブーブー言っている他クラブも、その選手が大事ならばレッズ以上のお金を積めばいいわけだし、それができないなら金銭以外の価値、例えば義理や人情、チームへの愛着といったものを選手が感じ取る環境作りをしなければいけません。お金がないなら工夫しろってことです。
それを怠っているから、レッズの提示する金銭の魅力に負けるのです。貧乏だし、努力もしない。けれど選手が出て行くのは我慢ならない。レッズ憎し。そんなことじゃ、選手にも見限られます。
俺を含めたサッカーファンの多くは無責任な立場で応援しているわけだから、選手の生活なんて知ったこっちゃありません。「浦和レッズからのオファーを蹴って、今のチームに残ります」と宣言する選手に対して年俸を保障するわけでもない。高額年俸に加えて、注目度も高いので海外移籍の道がひらけやすい環境は、選手生命の短いサッカー選手には大きな魅力でしょう。それらを蹴ってまで留まるだけの理由が他クラブには欠けているのです。
「有力選手を獲るだけ獲って飼い殺しにしているだけ」「補強と言うよりも他球団の戦力を削ぐための行動だ」という声もよく聞きます。傲慢な言い方をさせてもらうと、何が悪いというのか。相対的にもっとも強いチームが「優勝」なのだから、自己の戦力の増大と他者の戦力の減退は常に狙うべきものではないのですか。
戦力の均衡?日本サッカー界の発展?
そんなお題目のために、可能な補強もせずにみすみす優勝を逃すなど愚の骨頂。クラブ経営の怠慢です。頑張っている選手たちを優勝させてやりたいと思えば、補強は当たり前です。高校サッカーだって、戦力が均衡しているとは言えないでしょう。全国の高校生たちはそれぞれの置かれた環境のもとで勝利を目指しているのです。「平等な環境で競い合う」など幻想に過ぎないのです。
…と、ここまで擁護してきたわけですが、冒頭にも言ったように、俺は浦和レッズの選手濫獲には疑問を感じています。
理由その1。レッズ自体にとってマイナスではないかということ。戦力的にはプラスだろうけど、金に物を言わせた補強を批判されることによってファンが離れてしまうし、アンチも増えてしまう。長期的視点で考えると、あまりよろしくないかと。岡野や田中達也の人気を見ると、ファンだって生え抜きに活躍してもらいたいと思っているんだろうし。
理由その2。もっとおもしろいサッカーを見たいから。先述したように、たいがいのファンは無責任なわけですから、戦力が拮抗していて抜きつ抜かれつのリーグ戦を見たい。「日本サッカー界の発展がどうのこうの」と言うつもりもないし、言う立場にもありません。なんせ「無責任な観衆」ですから。
理由その3。レッズが強過ぎると他のチームが優勝できないからです。ガンバやフロンターレ、レイソルなど優勝させてあげたいチームはたくさんあるのです。少し選手を分けてよー。特に都築とか堤とか内舘とか赤星とか小池とかを放出しなさい。どうせターンオーバーしない監督なんだし。
まあ、これで優勝できないっていうのも痛快なんだけどね。
判官贔屓が好きな日本人の俺。